2003/08/30
PCに向かっていると、突然、耳をつんざくような大音量でセミの声が聞こえてきた。
見ると、部屋の網戸にセミが止まっている。ただでさえ暑苦しいのに、耳元で騒がれたのではたまったもんじゃない。僕は、セミに向かって話しかけた。
「お前うるさいよ」
どうやら彼は聞き分けの良いセミのようで、「すんません」と言うと、僕に話しかけてきた。
「最近はどこも車が走っていて、自分の鳴き声をアピールできんのですわ。セミだって必死なんです」
「そうか……それはすまないことをしたね」
セミは、さっき怒られたこともあって遠慮しながらではあるが、再び鳴き始めた。
「空を飛んでいると、時々仲間が道路で死んでいるのを見かけるんです。そのたびに、自分は考えるんです。自分の人生って何なんだろうって……」
僕は、フローリングに寝転がり、しばらく彼のセリフに耳を傾けていた。ひんやりとした時間が、僕達の間を流れた。
しばらくすると、セミは一言「それでは」とだけ言い残し、空へと飛び立っていった。
僕は、以前網戸に殺虫剤をかけまくったことを思い出したが、あえて記憶から抹消しておくことにした。
